税理士とは税に関するスペシャリストの国家資格です。その主な業務は税務代理、税務書類の作成、税務相談、記帳業務等です。税務代理とは、税務署に対して個人または法人が行う税務申告等を代理して行うことです。申告の身近な例としては、確定申告があります。税務代理は申告のみにとどまらず、申請、請求、不服申立て等が有ります。税務書類の作成としては主たる書類は税務申告書ですが、税務に付随する申請書、請求書、申立書等となります。税務相談は顧客からの税務に関する質問や相談に対して説明を行うことです。記帳業務は以前は税理士事務所の業務の大半を占める業務でしたが、それは手書きの会計帳簿が主流だったためで、財務諸表等の作成に高度な専門知識が必要としたためでした。近年ではパソコンの普及によって数万円程度の会計ソフトを使用すれば、台帳への入力さえ正確に行えば、損益計算書や貸借対照表が簡単に出力できるようになっています。その為、税理士事務所の仕事としては記帳業務の割合は少なくなってきています。最近ではフリー(無料)のパソコンソフトでも複式簿記に対応するものもある程です。一方で、税理士は顧客である企業や個人が税務申告をするのを手助けする立場にあり、企業の経営状況や個人の収支を把握し、コンサルティング的な業務を行う割合が増えてきています。財務状況を健全にすることや、節税対策を行うことが結果的に顧客の利益となるので、相談役、アドバイザー的な役割への期待が増大しているといえます。

税理士試験と免除制度

税理士になるにはいくつかの方法があります。まず弁護士資格か公認会計士の資格を持っている人は税理士会に登録を行えば業務ができます。これはどちらかといえば上位資格としての位置付けで、一般的な方法はやはり試験に合格することにあります。試験は科目合格制を採用していて、全11科目の試験のうち、必須である会計系科目2科目と、税法系科目は9科目のうち所得税法、法人税法、消費税法、酒税法、住民税、事業税、相続税法、国税徴収法から3科目を選択することになります。(但し、所得税法と法人税法のうちいずれか1科目は必須、消費税法と酒税法、住民税と事業税はそれぞれ両方は選択できません)一度に5科目を受験することもできますし1科目ずつ受験することも可能です。各科目の合格には有効期限が無いので自分のペースで受験をすることができます。試験には免除制度があり、会計学または税法に関する博士号を取得した場合はその科目の全ての試験が免除されます。以前は修士の学位であっても同様でしたが平成13年に改正され、研究がそれぞれの科目に関するものであると認定を受けた場合に限り、その系統の科目は1科目のみ合格すればよいことになりました。以前は裏技として法律と商学関係両方の修士を取得することにより全ての試験を免除される通称”ダブルマスター”という税理士も存在しましたが、現在では不可能となっています。ちなみにこの方法であれば4年間で確実に資格を取得することができました。

資格と独立開業

現在の免除制度を効率的に利用するならば、大学3年次から会計系科目を受験しはじめ、大学院で税法系の修士を取得するのが理想的でしょう。試験に合格したとして、すぐに独立開業できるわけではありません。2年以上の租税または会計に関する実務経験が必要となります。この経験はアルバイトでも良いので、受験勉強中や学生のうちから会計事務所や税理士事務所で働いておくと良いでしょう。資格を取得したからといって実務がすぐできるはずもなく働きながら実務を学ぶことで将来の仕事にも役に立ちます。試験に最終合格(5科目全てに合格すること)した後も、そのままアルバイト先の税理士事務所で働きつづけたり、あるいは規模の大きな会計事務所などに就職するなど選択の幅が広がります。独立開業の際のもっとも重要なポイントは顧客の確保にあります。税務顧問として10件ほどの顧客があればまず安定収入が見こめますが、開業していきなりそのような顧客を獲得するのは簡単なことではありません。泥臭い話ですが人脈や口コミが重要で、その為にはアルバイトや就職中に顧客とのネットワークを広げたり、個人を対象とする税務相談に参加して個人顧客を増やし、その紹介で法人の顧客を獲得したりすることも重要です。特に無料の税務相談は市町村や銀行などが主催することがあり、顧客獲得の大切なチャンスと成ります。ある程度の顧客を確保して、しっかりとした仕事を行っていれば、顧客が新たな顧客を紹介してくれるなどして自然に収入も増えるものです。