社会保険労務士とは、健康保険、年金、雇用保険、労働災害保険などの社会保障に関する専門家です。その主な業務は書類作成と書類の提出手続きの代行です。規模の大きな企業であれば社会保険の業務を専門に行う担当部署や担当者がありますが、中小企業や個人経営の会社であれば、それらの専門知識を必要とする書類を作成するのは手間と時間がかかります。そこで登場するのが社会保険労務士です。重要な社会保障の手続きを代行することは、国家資格を持った人にのみ許された業務となっています。例えば企業が一人の社員を雇用した場合、上記の社会保険に強制的に加入することとなります。異なる所轄官庁にそれぞれ正しい書類を作成し提出しなければなりません。また、給与計算においては保険料を計算して徴収することも必要です。それらの書類を誤りなく作成し、必要によっては提出先に説明を行うこともあります。このような煩雑かつ専門的な知識を必要とする手続きの一切を代行するのが社会保険労務士なのです。最近では単なる手続き代行にとどまらず、事業主に対する人事労務のスペシャリストとして、各種の相談や指導を行ったりするコンサルタント的な業務も増加しています。また、金融機関が年金相談担当として専任者として雇用するなど、従来とは異なる業務も増えています。資格を取得すると、社会保険担当として企業への就職が有利になると共に、個人で独立して事務所を開業することも出来ます。

受験資格を取得する

社会保険労務士試験の受験資格は学歴、資格、実務経験などに分かれますが、資格試験の制限としてはあまり厳しくありません。学歴での受験資格は、大学、短大、高等専門学校の卒業か、大学で62単位以上の取得となっています。大学中退、又は大学在学中にも受験資格を得られるので、時間に余裕のある学生時代にしっかり勉強をして資格を取得するということももちろん可能な手段です。次に資格による受験資格ですが、行政書士となる資格を有する場合学歴が不要となります。実務経験は社会保険に関する事務に3年以上従事した経験となっていて、勤務先の代表者や事業主(社長等)に証明してもらった上で審査を経て受験資格と認められます。最後に、公務員として3年以上行政事務に従事した経験がある場合も受験資格が得られます。従って、上記の要件に合致する学生であれば卒業後、又は必要な単位数を取得後に試験を受けることができます。学歴が必要条件を満たしていない場合は5年以上の実務経験が必要なので、公務員でない場合は勤務先に社会保険労務士資格の取得を目指している旨を伝え、社会保険関係の業務に従事させてもらわなければなりません。必ずしも希望が通る訳ではないので、将来社会保険労務士を目指すのであれば、まずは学歴による受験資格を取得するのが一番確実といえるでしょう。高卒の社会人で実務経験がない場合は、大学の通信制や放送大学で大学卒業資格を取得できるので、これらを活用して受験資格を取得することができます。

試験に合格する勉強法

社会保険労務士の試験は毎年8月の下旬の日曜日に実施されます。午前は選択式問題40問を80分、午後は択一式問題70問を210分となっています。合格基準は概ね70パーセントの正解と各科目ごとに選択式が5点中3点以上、択一式が10点中4点以上と足切りがあります。また年度ごとの難易度によって合格基準は調整されます。社会保険労務士試験の受験対策としてもっとも重要なのは過去問の攻略にあります。試験形式が全問マークシート方式となっているので、論述や論文形式のような体系的な知識はさほど重要にはなりません。問題は「どのような問題がでるか」ということに慣れ、その解答を導き出すことができればよいのです。社会保険関係の法令は細かい改正が頻繁にありますが、改正点にばかりこだわっていると合格点をとることが出来なくなってしまいます。社会保険労務士として必要な知識は合格してからゆっくり覚えればよいので、まずは合格することだけを考えましょう。具体的には、テキストを一回読み終えるごとに問題集を本番の試験と同じ形式で取り組みます。解き終わったら採点をして間違えた箇所をテキストを参照して理解してからもう一度同じ問題を解いてみます。これを満点が取れるまで繰り返します。過去10年の問題で全て満点が取れるようになったら予想問題集で同様のことを繰り返します。試験問題というのは基本的に過去問題からかなりの割合で出題されるので、勉強期間一年間でこれを繰り返し行えば十分に合格点がとれるはずです。